読書ログ 〜 「 90歳ヒアリングのすすめ 」
2012-04-21




高齢者のインタビューをもとに、質素で豊かな生き方を論じる

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題名にひかれて、図書館で借りて読んだ。
残念ながら、中身の薄い本だった。

なぜ90歳かというと、戦前生まれということだ。現代のようにインフラが整う前の、より自然に近かった頃、その生活体験を実地に聞けるのは「今がラストチャンス」という訳だ。

本のつくりとしては、まず、高齢者へのインタビューの実例をいくつか挙げ、それらを著者がまとめて何らかを述べて一章とする。その章が、テーマ別にいくつか並ぶ。

3.11の震災の後に書かれた本で、著者の意図もそこにある。停電などの混乱があった直後でもあり、「いかにエネルギーを使わずに、質素かつ豊かに暮らすか」がお題だ。

しかし、その結論はだいたい初めから決まっていて、それに合う高齢者のインタビューを適当にピックして並べたような作りだ。なので、書かれているのは「高齢者の知恵」ではなくて、「著者の希望」の方だ。しかも、特に真新しいくもない、その辺でも言われているようなこと、ややもすると近視眼的なものもあったりで、がっかりする。油(ガソリンや電気)依存を減らしたい、という基本線は正しいのだろうが。

著者は、1970年生まれ、刊行は今年の3月なので、40歳を過ぎた辺りだ。人生にちょいと疲れ始めて、自然回帰でゆっくりと・・・といった路線に共感を感じる人には、ほんのりと馴染める論調かもしれない。しかし、実は何の解決にもなってないので、有用性かどうかは疑問だ。ちょっとユルすぎである。


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