読書ログ 宇宙の扉をノックする
2014-08-09


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どこかの書評に出ていた本だったと思う。
図書館に予約していて、忘れた頃に番がやってきて、借りられた。
本は、既にえらく汚れていて。
理科好きの皆様は、借り物を大事に扱わないのが多いらしい。

えらくブ厚い本だ。600ページ近い。
題名通り、宇宙に関する科学的知見の最先端を、ミッチリ綴ってある。
今、最先端の科学者は、宇宙の扉のどの辺をノックしていて、それは、どんな音がするのか。
いろいろ、クドクドと・・・もとい、丁寧に書いてある。

内容は、大きく3つに分かれると思う。

まず、基礎的な内容。これまで科学はどのように進歩してきたか。ガリレオが泣いてニュートンが笑ったとか、そういう話だ。現在の量子力学ベースの理論に至るまでに、世の中で、何が理解されていて、何が理解されていないか(こんな誤解が流布しているけど違いますよ)、といったこと。

次に、最先端の宇宙科学の研究施設である加速器(ハロルド君)の建造に関する内容。いささか政治的なことから、土建屋的なことまで触れてある。とはいえ、泥臭い話にはならなくて、加速器の設備の全体像&解説や、内部の写真まであって、メカマニアや、(近年、台頭が著しい)プラントマニアなんかにも、垂涎の内容である。無論、純粋な科学者(または理科マニア)の皆様にもアピーリングだ。本当に最先端を走ろうと言う学者は、象牙の塔で霞を食ってる引きこもりなんかじゃダメダメで、足元に転がる人間臭っさい問題をも、まずこなす。そういう能力が、必要なようだ。

最後は、その先端の設備で何をやったらどんな結果が出て、科学者はどう解釈していて、次にどんな実験を組もうとしているのか、その辺りの解説だ。ここへ来てやっと、上の二つ、基礎的知識と、どんな施設で何を見ようとしているのか(見えているのか)の知識が、具体的に組みあがって、形を成す。ああ、科学者がノックしている扉と言うのはこんな形をしていて、そのノックの音はこんなエコーなのか、とそんな辺りが伝わってくる。

そうやって、知らないことを知ろうとすること、クリエイティブであること、世間のたわ言や誤解に関わらずに、真実を見極める姿勢を持ち続けるというのは、どういうことかに簡単に触れて、全体をまとめて終わっている。

そこまで至るのに、600頁。
長げえよ。 ( -.-) =зフゥ

ちなみに、著者は、女性の物理学者だ。

超一流の大学教授を歴任して、ダークマターなど物理のダークサイドは無論のこと、加速器建造に伴う、学者と政治家が予算で戦うような、リアルにダークなマターをもかすった後に、ややこしい実験結果から見え隠れする、お目当ての(宇宙物理学的な)ダークマターの影の影まで、「笑顔で」取り組んでいるという、恐ろしい女性だ。

デキるオンナの物理の話。
しかも、この文章量。
フツーのオトコは、消化不良必至である。

我こそはという諸君。
健闘を祈る。


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