バイクの本 70年代(1) オートバイの本
2015-02-08


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最近は、図書館の検索システムにも、カテゴリー検索のような機能があって。先日、ふと「オートバイ」の分類があることに気付いた。それによると、バイク関連の蔵書は、古くは70年代からあって、全部で数百冊に上ると。

これ、最初からナメて行くと、バイクにまつわる文化史というか、バイクがどう思われて、扱われて来たのかの変遷を、概観することができるんじゃないか?

この所、バイク関連はネタ切れ気味だったので。
試しにやってみようかなと。

そんなわけで。
栄誉ある(?)初めのエントリーが、本書である。

オートバイの本
景山克三 著
光文社 カッパブックス
昭和48年7月10日 (1973年)

何せ古い本で、Amazonにもない。

最初は、ナメていたのだ。どうせ、内容は見知ったことばかりだろうと。

違った。
どころか、初めから「はまった」。

ご覧の通り、題名は、捻りもなしのド直球だが、副題は、
  自由のマシンを乗りこなせ
「自由に」ではなくて、「自由の」である。
その辺のニュアンスが伝える通りの、ちゃんとした本だった。

著者は、自動車工学の先駆けとして活躍された日大の教授(当時)で、二輪車についても工学的な観点から研究をされていた方だ。この本を書いた当時、齢53際にして、既に30年のバイクキャリアを持つマニアでもあった。ご自身のライダーとしての経験と、研究者としての知識が相まった、なかなか得がたい記述がされている。

それは、著者が、バイク乗りとして日々感じたことと、仕事として日々調べてきたことがリアルタイムで相関しているのだが、その様子が、我々一般ライダーが、日々感じ、理解を進めている、そのプロセスに非常に近いのだ。だからこそ、我々が読んでも、親近感をもって理解しやすい。そういったコンテキストで語られているように感じられた。

目次から内容を概観すると、

第1章 オートバイはなぜ倒れないか
 二輪車の安定性と操縦性の考え方、旋回のメカニズムについて。

第2章 オートバイはなぜ走るか
 エンジンやミッション、タイヤなどの動力系の構造と原理、扱い方について。

第3章 オートバイの選び方
 オートバイの魅力と、リスク/コストの考え方と、それを踏まえた機体の選び方。

第4章 オートバイにどう乗るか
 乗り方の基本となる考え方から、細かい操作法、服装や心構えの示唆など。

バイクに乗るというのがどういうことなのかを、理論とメンタルの双方から描き出し、実際に乗るにはどうしたらいいか、どうすれば上手く乗れるのか(楽しめるのか)までを、幅広い視点でまとめている。

技術的にややこしい所を踏まえつつ、それを正確にわかりやすく伝える日本語能力の高さは、著者の世代の特徴でもある。

その能力は、初めの章から発揮されている。
バイクの運動特性の基本的なところを、これほど理論的に、かつクリアに説明できている例は本当に珍しい。今まで取り上げた、 乗り方論の類 から、工学書の類( その1その2 )なども凌駕している。

印象に残った所を、大股に記す。

二輪の前輪には、安定限界速度がある。それ以下ではセルフステアが機能しなくなる速度のことで、大体は25km/h程度。これを下回ると、ライダーが直接ハンドルを操作しなければならず、端的に「疲れる」。(渋滞すり抜け時のアレである。)


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