禺画像]
パリダカと、ラベルダを続けて書いたので。連想ゲームでここに来ました。
この人の著作を読んだのは、初めてだ。
無論、お店の方にも行ったことがない。
昔々、私がまだバイク雑誌を眺めていた頃。この人は、既に表舞台からは降りていた。女性ライダーはもう珍しくなくて、レーサーは二代目三代目に移っていたし、漫画家やお色気系、雑誌のマスコットまで横並びしていた。この人は、先駆者として、たまに名前が挙がる程度だったような気がする。
レースや世界規模のツーリング(砂漠を含む)で広く活躍していて、ラベルダにも乗っていた女性。その程度の知識しかなかった。
地元の図書館を当たったところ、何冊か蔵書があったので読んでみた。
今回のこの本は、1982年刊。既に30年前の本なので、ヤケてるわシミてるわで、えらい状態だったが。この人の「人となり」は、何となくわかったような気がした。
今やいろいろ言われすぎて、伝説じみてしまった感もあるが、きっと、相当に「自由な人」だ。
当然のように、わが道を進む。
そのために、何かを背負うのは厭わない。
その意味で、以前取り上げた
この本 の著者に、何となく似ているようだ。
(ファンの皆様には怒らないでほしいのだが・・。)
この共通項。
確かに、あの時代の「自由」は、こんな匂いがしていた・・・。
戻して。
この本は、著者が長年、バイクに親しんできたさまざまな断片について、書き綴ったものをまとめた本だ。レースやトライアルなどの競技や(ニーラーまで!)、ツーリングや昔乗ったバイクの印象、バイクをめぐる文化や規制に対する意見や見解(エッセイ)、バイクがらみの小説っぽい短編などが収められている。
禺画像]
いろいろと、懐かしいような、既視感がある本だった。
当時の物書きの、手で書いた文章。
(推敲を想定した、キーボードで打った文章ではない。)
わざとらしくて優しい、アナログ写真。
(プロが機材を準備して、時間や天気を待って、構図を狙って撮って、丁寧に焼いた、手間がかかった写真。)
そこでつらつら綴られる、当時の日常や、常識なんかが。
(昔、RidersClub誌で連載していた、中沖さんの「鉄と心と・・」を何故か思い出した。)
70年代。
一般に、バイクといえば、暴走族か、イージーライダー辺りのイメージだったろうか。
そこに女性だ。しかも美人。
「オンナなんか」に並ばれた途端、プライドがメンツに成り下がる。そんな、「ペラいオトコ」は今も多いが、当時はもっと普通だった。
そりゃあタフだったろう。
(なんて同情なんかすると、ご本人には、鼻で笑われかねないが。)
その証拠に、この人は、いくら優しい題材を書いても、緊迫感というか、芯の強さが、どうしても出るようだ。
禺画像]
堂々としたラベルダが体現していた、あの当時に特別だった何かは、今はもう陳腐化していて、その辺に埋もれてしまった。
逆に、今の「常識」の中には、当時から見れば、相当に異様なものも含むだろう。
いろいろ便利になったはずなのに、妙にせせこましかったり、不自由だったり。
もし今も、この人が居たら。
オバサンになった堀ひろこは、何を言っただろうか。
と、21世紀の私は感じた。
うっすらと、原発由来の、セシウムなんかを浴びながら。
今、振り返る視点で読むと、昔の、辛くて楽しい矛盾や不条理が、よく見える。
それを、
知っていた人は、思い出すために
知らない人は、学ぶために
残しておいて欲しい類の本なんだが。
セコメントをする