読書ログ 「こんとらばすのとらの巻」
2014-04-05




一身上の理由で、コンバスの本を探していて。
図書館で、題名借りした。

でも、コントラバスの話ではなかった。

コントラバス奏者による「悪魔の辞典」だ。
あいうえお順に、適当なトピックについて、解説のような、冗句のようなものを並べている。
そういう造りなので、パラッとめくったそのページから、適宜、読んでしまえる。

多少の暴露を含む、ブラックジョークだ。
コンバス奏者ならではの、楽屋裏のカミングアウトを少々含んでいるのが「味」か。

著者は、愉快な人のようだ。
文章も面白い。
借りた時は「ありゃ?違った・・・」だったのだが。
一通り、読んでしまった。

しかし、コンバスは、マイナーだ。
ためしに、Amazonで「コントラバス ミュージック」で引いてみよう。
コンバスのCDなんて、ほとんど無い・・・あれ、結構あるな。(笑)

何故か、オーケストラの弦楽器は、待遇が「一個おき」だ。

バイオリンとチェロは、ハレの楽器だ。
ソロもあって、見てくれがいい。
行けてる譜面も結構あるし、教則本なんかもたくさんある。
恵まれた子なんである。
うちの子はバイオリンやってますの → 上品、金持ちそう
私、チェロを嗜んでいまして → ハイソ、セレブ、ステータス

ビオラとコンバスは、影の楽器だ。
誉めて言っても「支え役」、ぶっちゃけ「地味」だ。
譜面もないから、ソロで何かやろうったって厳しいし、教則本も、ほとんどない。
不遇の楽器である。
うちの子は、ビオラですの → 何でしたっけそれ
オレ、コンバス弾くんです → ・・・それで?

しかも、コンバスはでかい。
でか過ぎる。
持ち運びはもちろん、気軽に部屋に置いておくこともはばかられる。
弦を押さえる位置も高いから、弾く時だって、立ったまま弾くのだ。

言っておくが、ジャズで使う、指ではじいて弾くウッドベースとは違うのだよ。
などと、明後日を向いて偉ぶってみても始まらない。

あの、ゴーと響き渡る低音は(特に私のような年かさのオッサンには)魅力で、やってみたいなあ、とは思うのだが。

そういった苦労や労力、まとわり付いてくる矛盾や不遇などを、ウイットと虚勢でもって、楽しくやり過ごす。
そういう体力と能力がないと、できない楽器なのだろうなあ。
と、本書を読んで、そう思った。


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2004年刊 定価\1700
こんとらばすのとらの巻―音楽とコントラバスを愛する人のための事典禺画像]

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