アニメーションとライフサイクルの心理学
2020-08-09



図書館でふと見かけて、試しに借りてみた。「アニメーション」と「ライフサイクル」の組み合わせって何だろう?と思ったのだ。

「ライフサイクル」で想起したのが、まず、「作品」のライフサイクルだ。私のようにモノ作り業界に居ると、製品のライフサイクル設計は常に捲られるスペックの一つで、まずそっちが頭に浮かぶ。アニメーション作品のライフサイクル設計、例えば、この一本はいつまでもてばいい、その次はこうしよう・・・のような、考え方のことかと思ったのだ。

もう一つは、「作中人物」のライフサイクルだ。アニメーション作品の中で、人の一生、誕生、老い、死といったものがどう描かれてきたのか。作中の人生観、死生観は、昔はこうだったが、今はこう変遷した、のようなお話かと想像した。

両方外れた。

作り手が歳を経るに従い、その世代感に従って、作品の様相が変わる。若い頃は勢い勝負だが、やがてピークを過ぎ、中年クライシスで壊れたり逃げたりして、さらに老いるに従い、次第に死を意識するような作風に変わっていく。そういった、作り手側の心理面のお話だった。

著者は心理学の専門家だ。心理学的に、ライフサイクルというのがそういうことを意味するのか、寡聞にして存じないのだが。やはり、そっち側のモノサシがあてがわれていて、この作品のこの場面は心理学的にはこう解釈される、てな感じの、何と言うか、フロイトの夢判断を今さら?という「外した感」に満たれる羽目になった。

作者と一緒に作品も枯れていく。当たり前の話だ。それを研究と言われても。

ライフサイクルは難しい。やり過ぎると、短命の不良品になってしまい評判を落とすし、長持ちし過ぎても、もうトレンドを過ぎたとか、飽きたなんか言われて、まだ動くのに捨てられるだけで、かけたコストが丸っきりムダになる。すり減って捨てられて、でも拾われてレストアされて、第2の人生( or モノ生)を歩めるのは、ほんの一握りの幸運なケースだ。

人間はレストアが効かない。だから、全てこれでいいのだと、私は感じている。

ほらね。やっぱり話がまとまらない。(笑)


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